そもそもGNSSとは?

「GPSは知ってるけど、GNSSって何?」から始める、衛星測位のはじめの一歩

スマホの地図が「今ここ」を表示できるのは、宇宙の衛星が出す電波を受け取っているからです。

その衛星は1つの国だけのものではありません。アメリカのGPS、ヨーロッパのGalileo、中国のBeiDou(北斗)、ロシアのGLONASS、日本のQZSS(みちびき)…と、いくつもの「衛星測位システム」が地球を回っています。

それらをまとめて呼ぶ言葉が GNSS(Global Navigation Satellite System=全球測位衛星システム)。あなたのスマホは、実はこれらを同時に使って位置を割り出しています。

※ 図は仕組みを分かりやすくした模式です。衛星の数・軌道・大きさは実際とは異なります。

GPS と GNSS はどう違う?

日本では衛星測位をまとめて「GPS」と呼びがちですが、GPSは数あるシステムのうちの1つ(アメリカ製)にすぎません。全部をひっくるめた総称が GNSS です。ティッシュを「ティッシュ」ではなく商品名で呼ぶのに似ています。

GNSS = 衛星測位システムの総称
GPSアメリカ ・全世界
GLONASSロシア ・全世界
GalileoEU(欧州) ・全世界
BeiDou 北斗中国 ・全世界
QZSS みちびき日本 ・地域
NavICインド ・地域

「全世界」=地球のどこでも使えるシステム。「地域」=特定のエリア(日本周辺やインド周辺)に特化したシステム。QZSSはGPSを補い、日本の真上に長く居座るのが特徴です(→ QZSS みちびき)。

世界のGNSS 早わかり表

システム運用種別衛星数の目安ひとこと
GPSアメリカ全世界約31機元祖。1990年代から運用され、「GPS」が衛星測位の代名詞になった
GLONASSロシア全世界約24機GPSとほぼ同時期に整備された、もう一つの全球システム
GalileoEU(欧州)全世界約28機民生用途で高精度を志向。比較的新しい世代
BeiDou(北斗)中国全世界約35機+近年フル運用に。衛星数は最多クラス
QZSS(みちびき)日本地域4→7機へ日本+アジア・オセアニア向け。GPSを補強し高精度化
NavICインド地域約7機インド周辺地域に特化したシステム

衛星数は運用状況で変わるおおよその値です。周波数帯の違いは 周波数帯マップ で見られます。

どうやって「今ここ」が分かるの?

衛星は「今の正確な時刻」と「自分が宇宙のどこにいるか」を電波にのせて放送し続けています。受信機(スマホ)は、その電波が届くまでにかかった時間から衛星までの距離を測ります。電波は光の速さなので、時間が分かれば距離が分かるわけです。

  1. 衛星1機との距離が分かると、自分は「その衛星を中心とした球面のどこか」に絞られる
  2. 2機、3機と増やすと、球面どうしが交わって候補がぐっと狭まる
  3. 4機目で受信機の時計のズレも一緒に解け、空間の1点(緯度・経度・高さ)が定まる

だから測位には最低4機の衛星が必要です。仕組みを動かして試すなら → GNSS衛星信号シミュレーター、距離の測り方は → 擬似距離・ドップラー

なぜ複数のシステムを使うの?

今どきのスマホやカーナビは、GPSだけでなく Galileo・BeiDou・QZSS…をいっぺんに使います。見える衛星が増えると、いいことがたくさんあります。

ビル街・山でもつながる

建物や山に隠れて何機か見えなくても、システムが多ければ「見えている衛星」を確保しやすい。

測位が速く・安定する

候補の衛星が多いほど、電源を入れてから位置が決まるまでが速く、値もブレにくい。

精度が上がる

四方八方に散らばった衛星を使えるほど、位置の計算がしっかり定まる(→ DOP)。

1つ止まっても大丈夫

あるシステムに障害や妨害が起きても、別のシステムで補える。

身近な使われ方

🗺️

地図・経路案内

スマホの現在地表示、徒歩・車のナビ。

🚗

配車・配達・物流

タクシー配車、宅配やフードデリバリーの追跡。

📷

写真の位置情報

撮った場所を記録するジオタグ。

🕐

時刻の同期

通信網・金融・電力網が使う正確な時刻の配信も、実はGNSSの重要な役目。

🚜

農業・測量・建設

トラクターの自動運転や、土地の測量に高精度測位を活用。

🆘

防災

QZSSは災害・危機管理の情報を衛星から直接届ける(災危通報)。