GNSS周波数帯マップ

各国GNSSが使う周波数帯を1本の軸に並べて比較。どこが重なり、どこが独自かを見る

表示する測位システム:
横軸: 周波数 [MHz](L帯 1150〜1620 MHz)。帯にマウスを乗せると詳細を表示。縦の点線は複数システムが共用する周波数。NavICはこのほかS帯 2492.028 MHz も使用(軸の範囲外)。
見どころ — なぜ同じ周波数に集まるのか

1575.42 MHz(L1/E1/B1C)と1176.45 MHz(L5/E5a/B2a)に注目。GPS・QZSS・Galileo・BeiDou・NavICが同じ中心周波数に信号を置いています。これは偶然ではなく相互運用性(interoperability)のための国際協調の結果です。受信機は1つのアンテナ・1つのRF回路で複数システムをまとめて受信でき、「全部合わせて衛星数を稼ぐ」マルチGNSS受信が安価に実現します。スマホのGNSSチップがまさにこれです。

一方、GLONASSのG1/G2は少し離れた独自の周波数にあり、しかも衛星ごとに周波数をずらすFDMA方式(新しいG3はCDMA化して他システムに接近)。BeiDouのB3やGalileoのE6、QZSSのL6も各システム独自の帯域で、補強・高精度サービスなど差別化機能に使われています。

そもそもなぜ「L帯」(1.1〜1.6 GHz)なのか

衛星測位の電波はほぼすべてL帯に集まっています。理由はバランスの良さです: 周波数が低いほど電離層の影響が大きく(誤差・シンチレーション)、高いほど雨や大気による減衰が増え、また同じアンテナ利得を得るのが難しくなります。L帯は電離層の影響がそこそこ小さく、天候の影響もほぼ無視でき、アンテナも小型化できる「ちょうどいい」帯域です。

加えてL1やL5周辺は航空無線航法(ARNS)に割り当てられた保護帯域で、他の電波システムからの干渉が規制上抑えられていることも、安全用途(航空など)に重要です。

FDMAとCDMA — GLONASSだけ形が違う理由

GPSをはじめ多くのGNSSはCDMA: 全衛星が同じ中心周波数で送信し、衛星ごとに違う拡散符号(PRNコード)で区別します。一方、従来のGLONASSはFDMA: 同じ符号を使い、衛星ごとに周波数を約0.5625 MHzずつずらして区別します。グラフでG1/G2の帯がやや幅広なのは、この衛星ごとのチャネルが並んでいるためです。

FDMAは受信機のRF設計が複雑になりがちで、他システムとの相互運用もしにくいため、GLONASSも新世代ではCDMA信号(G3ほか)を追加しています。