dBと信号強度

−130dBmってどのくらい? — 電波の強さの言葉「デシベル」を体で覚える

dB ⇔ 倍率 変換器

dB +3 dB
電力比 ×2.0 +3dBは「約2倍」。これだけは暗記の価値あり

dB = 10 × log₁₀(電力比)。+10dBが10倍、+3dBが約2倍、−3dBが約半分。掛け算の世界を足し算に変える対数の道具。

dBm ものさし(1mW基準の絶対値)

電力 −130 dBm
0.1 fW

リンクバジェット — 衛星の25Wが地上で−130dBmになるまで

受信アンテナ利得 +3.0 dBi
遮蔽・屋内減衰 0 dB
環境プリセット:

数値は教材用の概算。熱雑音床は帯域2MHz(C/A信号相当)で計算。C/N₀はu-centerなどの受信機モニタに出る「衛星ごとの棒グラフ」の値そのもの。

dBのルール — なぜ掛け算が足し算になるのか

電波の強さは、送信で数十W→受信で10⁻¹⁶Wと、桁が16個も変わります。この掛け算だらけの世界を扱いやすくするのが対数です。dB = 10 log₁₀(比)と定義すると、「100万分の1になる」は「−60dB」、「2倍のアンプを3段」は「+3+3+3=+9dB」— すべての増幅・減衰がただの足し算になります。リンクバジェットの図が縦にストンストンと降りていくのはこのおかげ。

覚えるのは2つだけ: +10dB=10倍、+3dB≈2倍。組み合わせれば何でも出ます(例: +26dB = 10×10×2×2 = 400倍)。

dBm・dBW・dBi・dB-Hz — 単位の後ろに付く文字の意味
表記基準用途
dBm1 mW絶対的な電力。GPS受信レベル−130dBmなど
dBW1 W大きな電力。dBm − 30 = dBW
dBi等方性アンテナアンテナ利得。「全方向に均等」と比べ何倍か
dB-Hz1 Hz帯域C/N₀(搬送波電力対雑音密度比)。GNSSの信号品質の共通言語
dB(無印)相対比利得・損失・SNRなど、何かと何かの比

「dBの後ろの文字=何を基準にした絶対値か」。無印のdBだけが相対値です。

熱雑音 kTB — 何もしなくても存在する床

抵抗の中の電子が熱でゆらぐだけで、電力 N = kTB(k: ボルツマン定数、T: 温度、B: 帯域幅)の雑音が生まれます。常温(290K)では −174dBm/Hz — これが物理が決める床です。帯域を広げるほど雑音は増え、C/A信号の2MHzでは −174 + 63 = 約−111dBm

GPS信号は−130dBmでこの床より約20dBも下。つまりスペクトラムアナライザで見ても何も見えません。それでも受信できるのは、相関処理で約43dBの処理利得を稼ぐから(信号の構造参照)。「雑音の下に隠れた信号を掘り出す」がGNSS受信の本質です。

C/N₀とSNR — 受信機モニタの棒グラフの読み方

GNSSでは信号品質をSNRでなくC/N₀(dB-Hz)で言うのが習慣です。帯域の取り方に依存しない値で、SNR = C/N₀ − 10log₁₀(帯域) の関係。u-centerなどで見る衛星ごとの棒グラフがまさにC/N₀です。

目安: 45dB-Hz以上=屋外の良好な受信、35〜45=普通、28〜35=弱い(都市部・窓際)、28以下=追尾が切れはじめる限界。上のリンクバジェットで屋内減衰を増やして、この限界を体験してみてください。