航法メッセージ比較(GPS / QZSS)

信号ごとの航法メッセージをビットまで見て比べる。フィールド配置は仕様書ベースの教材用再現(ビット値はダミー)

メッセージ形式:
サブフレーム:

GPS L1 C/APRN 1〜32

QZSS みちびき L1 C/APRN 193〜202・フォーマットはGPS互換

フィールド凡例

ここでのGPSとQZSSの違い

エフェメリスとアルマナックの違い

エフェメリスは「その衛星自身」の高精度な軌道パラメータ(ケプラー軌道要素+補正項)。有効期間は2〜4時間程度と短く、繰り返し放送されます。測位計算で衛星位置を求めるのに使う本命データです。

アルマナックは「全衛星」の粗い軌道と状態の一覧。精度は低いけれど数週間〜数か月使え、受信機が「今どの衛星が空にいるはずか」を予測して捕捉を早めるために使います。LNAVでは全25ページを集めるのに12.5分かかる — 昔の受信機の初回測位が遅かった理由のひとつです(今はネット経由のA-GNSSで補う)。

LNAV → CNAV → CNAV-2 という進化

LNAV(L1 C/A、1978年〜)は30ビットワード×10=300ビットの固定サブフレーム構造で、各ワードを6ビットのハミング符号パリティで守ります。CNAV(L2C・L5)は固定フレームを捨て、「メッセージタイプ」単位の柔軟な放送に変わり、誤り検出も強力なCRC-24に置き換わりました。軌道も「√A」でなく「基準値からの差ΔA」で送るなど、精度も向上しています。

CNAV-2(L1C)はさらに進み、9ビットのTOI+600ビットの時計・エフェメリス+274ビットのページという長さの違う3サブフレーム構成。時刻(TOI)はBCH符号、データはLDPC符号という強力な誤り訂正で保護され、弱い電波でも復調しやすくなっています。形式を切り替えて、構造の違い(ワード+パリティ vs メッセージ+CRC vs 可変長サブフレーム)を見比べてください。

なお、L1 C/AのLNAVはすべての衛星が送る「共通語」であり続けており、新しい信号は上位互換の追加という関係です。

メッセージの速度と時間感覚

LNAVは50 bps。300ビットのサブフレームに6秒、エフェメリス一式(SF1〜3)に18秒かかります。CNAVはL2Cで25 bps(1メッセージ12秒)、L5で50 bps(6秒)。CNAV-2は100 sps(シンボル/秒)で18秒フレームです。

どれも通信としては極端に低速ですが、これは2万km彼方から地上の雑音レベル以下の微弱電波で届けるための設計です。すべてのサブフレーム/メッセージの先頭にある時刻情報(TOW/TOI)が擬似距離測定の基準になる、GNSSの心臓部です。